- セミナー概要
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当日は座学と実技演習の2部構成となっており、講義内容は主に脳弾塑性に関わる知見や総合臨床の実例等についてご報告いたします。
実技演習ではBReINのアップグレードおよびアップデートを行います。初参加の方にはインストラクターが1対1で対応いたします。術者と被験者の両方を体験できる貴重な場となっております。手技療法の経験の有無に関わらず、どなた様におかれましても安心してご参加いただけます。
会場はJR大宮駅から徒歩3分です。アクセスの詳細は大宮ソニックシティ(地図)にてご確認ください。
- 当日の講演および技術系アプデの内容
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①定期講演Ⅰ『Breinアングラの真髄について~リズミカルな内圧微変動による神経回路の改変~』
講義の概略
関節深部感覚へのアプローチとして、当会は重力解放を重視しているが、今回は引き込み(エントレインメント)の視点で考察する。
アングラにおける引き込みは、パーキンソン病の治療における「メトロノームの引き込み」とは異なるメカニズムが潜在しており、その根底には、ヒトの動作的介入(手技療法)に含まれる1/fゆらぎ成分、ならびに絶え間ないリズミカルな内圧微変動がもたらす神経応答の改変、すなわち「内圧ノイズ印加による確率共振」と見なすことができる。②定期講演Ⅱ『久保建英の脱臼シーンを解説~関節反射ショック及び認知科学統合の視点~』
講義の概略
脱臼シーンおよびピッチ上で整復操作を受けているシーンを供覧しつつ、その問題点(通常であれば脱臼するほどの外力を受けたとは考えられない受傷機転)と整復場面について、関節反射ショックと認知科学統合の観点から詳しく解説する。
③技術アプデ『肩関節新鮮外傷(腱板断裂)に対するアングラ』
アプデの概略
夜中に階段から転落して左肩を強打した症例。受傷翌日に当方を受診(その後整形を受診してMRIにて腱板断裂の診断)。
初診時の施術風景、その後の経過を撮影した動画を供覧しつつ、腱板断裂と診断された新鮮外傷に対して、教科書的な固定措置も電気治療も一切行わず、関節内圧微変動のリズミカル介入(newバージョンのアングラ)のみによって、いかにスムースに、いかに超早期の回復が得られたのかについて詳細に解説する。④定期講演Ⅲ『ソフトとハードの統合(認知科学統合)における二軸概念』
講義の概略
当会が使用する認知科学統合という概念には、「原因論における統合理念」と「方法論における統合理念」の二種類が包含される。
前者の原因論では、脳と肉体のシームレスな統合に破綻が生じている病態を指しており、後者の方法論では、縦割り行政の弊害と同じく、専門分化した医療体制の欠陥~ソフト(脳や心の次元)偏向あるいはハード(構造の次元)偏重~に対する医療ソリューションを表している。⑤定期講演Ⅳ『取り外し可能なテーピング軟性固定~足関節バージョン~』
講義の概略
前回のセミナーで紹介した突き指固定の足関節版。日常業務で頻繁に対応する足J捻挫に対して、取り外しができるテーピングというのは本当に汎用性が高く、忙しい外来でも、処置時間の短縮に貢献し、何よりも患者自身の負担が極めて軽いという利点がある。もちろん肝心の回復効果も折り紙つき。
しかも技術的な難易度が非常に低いので、看護師から鍼灸師、トレーナーに至るまで、特別な訓練を受けていない医療者も簡単に行うことができる。運動器ケアに関わる医療者すべてにとって必聴の講義。⑥定期講演Ⅴ『医療におけるロジックエラーはなぜ起こるのか?~第二のロボトミーを斬る!~』
講義の概略
過日、日本のテレビ番組がイップスに対する脳外科的アプローチを紹介した。世界初の画期的な手術であることが強調され、スタジオに呼ばれて意気揚々と語る医師は以下の発言を行った。
「イップスというのは局所性ジストニアなんです。メンタルは関係ありません」
公共の電波を利用して、「イップス=ジストニア」と高々と宣言し、「メンタルの次元」を言下に否定したのである。こちらの記事「腰痛肩こりはガンの赤信号!?」で紹介したロジックエラーと全く同じ構造であり、対称性バイアスの極みと言える。
そもそもイップスは学術用語ではなく、医学的な解釈で言えば、〇×症候群に近いカテゴリーに属する。脳オーバーロードによる無意識下運動回路エラーであり、俗称的な一般概念に過ぎない。イップスという病名がカルテに記載されることはない。
ところがである。イップスと解釈され得る症例の中に、局所性ジストニアが判明するケースがある。換言すれば「局所性ジストニアの中に、症例によってイップスのように扱われているものがある」ということ。
つまりイップスの全てがジストニアではなく、イップス症例の中に、時にジストニアのケースが含まれる、というのが正しい解釈、表現である。
にも拘らず、先の医師は「イップスは全てジストニアだ」と断じた。
例えばFTSD(フォーカルジストニア)は楽譜通りに弾かなければならないクラシックのピアニストでは症例が報告されているが、自由な即興演奏が多いジャズピアニストでは極めて少ない。
高校時代のイチローがメンタルの問題からイップスになって投げられなくなった話は有名だが、彼は自らのトップダウン回路によって克服した(イチローはそれをセンスという言葉で表現している)。
筆者はこれまで多くのイップス症例と対峙するなか、イチローのように内観力の優れたアスリートをたくさん見てきた。高度なメタ認知能力を持つアスリートはメンタルトレーニングの重要性をよく理解している。
イップス症例の中には、間違いなくメンタル起源の症例がある。しかし、前述のテレビで紹介された医師は、これを完全否定し、メンタルは一切関係ないと言い放ったのである。
では、なぜこのように尊大な物言いになってしまったのか?本気でそう思っているなら、イップスという定義そのものを曲解しているとしか考えられないが、結果として、方法論縛りの流れを作ったことは否めない。
つまり「私がやっているこの手術こそが絶対的に正しい唯一無二の治療なのだ」という印象を視聴者に抱かせたのである。「第二のロボトミー」が日本で誕生した瞬間であった。
こうして医学的ミスリードは繰り返されていく。この発言を行った医師は椎間板ヘルニアを発見した2人とまったく同じメンタリティ。歴史的な発見に心躍り、その成果を誇りたくなる気持ちはよく分かるが、自身のロジックエラーに気づいていない。
ロボトミーやサイキックドライビングにおいて、その被害を拡大させた一番の要因は、治療対象を無秩序に広げたことだった。当初の想定を超えて、本来の適応を無視してあらゆる症例に悪魔の手を伸ばしていった…。
ごく軽い一過性のイップス、時間の経過できちんと回復するイップス、イチローのように自らのメンタルリセットで治るイップス、こうしたイップスに対しても見境なくこの手術が行われるようになったら、数十年後には「被害者の会」が結成されかねない…。
当日の講義では、こうした医学的ミスリードがなぜ起こるのかについて詳細に解説する。絶対主観(絶対的メタ認知)と相対主観(相対的メタ認知)の違いを知ることで、バカと利口の違いを明確に理解することができる。学校の成績は関係ないのだ、ということがはっきりとお分かりいただけるだろう。
さらに学力における「偏差値40の定型発達」と「偏差値70の発達障害」では、どちらのほうが、より多くの人生リスクを負っているか?についても考察する。ちなみに、その答えは後者であるが、その理由については当日詳しく…。⑦定期講演Ⅵ『クラムジーとイップスとオスグッド~認知科学統合の視点~』
講義の概略
W杯カタール大会で予想外のパフォーマンスだった鎌田大地、ABEMAの解説で脚光を浴びた本田圭祐、この両者に共通する中学時代の苦難は“クラムジー”。これは思春期における肉体の急成長と運動感覚が乖離することによるスランプ状態を表す用語で、近年とくにジュニアサッカーの世界で取り上げられることが多い。
イップスは講演Ⅴで紹介したとおり。そしてオスグッドはクラムジーに近い概念の下、成長痛として扱われる脛骨粗面の隆起とこれに伴う痛みに対する診断名。
これらに対して、ハード論だけで捉える視座と、ソフトとハードの統合という視座で診るのでは、まったく違う景色が見えてくる。スポーツ医学においても認知科学統合の観点が非常に重要であることを解説する。⑧定期講演Ⅶ『不安遺伝子と叱る依存~セロトニントランスポーターとドーパミン~』
講義の概略
オキシトシンの光と影については周知の事実だが、集団を形成し、これを維持する結束力は、皮肉なことに異分子の存在や不平等な扱いに対する攻撃性を強めてしまう。
同時に、こうした要因が同調圧力を生み出し、いじめや叱る依存などの攻撃反応にも関わってくる。ここにセロトニンの問題が加わることで、こうした傾向はより顕著になって現れる。その象徴が日本人である。
世界の中でも突出して不安遺伝子(セロトニントランスポーター遺伝子のSS型)を持つ個体が多い(国民の6~7割)日本人だからこそ、マスクニケーションが止められないという話は以前解説したが、この深層に、実は前述した不平等に対する攻撃性が潜んでいる。
ワクチン接種した或る看護師が副反応で苦しんだ際、「自分だけこんな辛い目に遭うなんて不平等だ!ワクチン接種しない奴は許せない。国民全員がワクチン接種して同じ苦しみを味わってほしい!」というコメントをSNSに投稿して話題となったが、これなどはまさしくSS型の典型例と言える。
『オキシトシ↑→集団形成の強化→異分子や不平等への攻撃→不安遺伝子→セロトニン↓→不安や恐怖→攻撃性UP→サンクション(いじめや叱る依存どいった制裁行動)→ドーパミン↑→依存の強化』
上記のごとくメカニズムについて、テレビ映像を供覧しつつ解説する。⑨定期講演Ⅷ『クオリアと無意識の関係(復習編)~Bリベットと皮膚兎感覚~』
講義の概略
方法論において、極めて微細な触覚刺激が脳弾塑性を誘導するメカニズムを理解する上で、無意識下情報処理は絶対に欠かせない基礎知識。
「相対性理論(直感に反すること)を受け入れた物理学者と同じレベルの認知的柔軟性が、医療者にも必要だ」ということは以前にも述べたが、今回は非常に分かりやすい映像を供覧しつつ、脳情報処理の摩訶不思議について学びを深めていただく講義。
こうしたプロセス(直感に反することを理屈に落とし込む訓練)を重ねることで、極微の刺激が脳に及ぼす機序にゆるぎない確信を持つことができる。⑩定期講演Ⅸ『認知的柔軟性という概念の周知徹底が鍵を握るヘルスケアの未来』
講義の概略
世界の中でも、最速スピードで超高齢化社会に突入した日本。今後のヘルスケアにおいては、脳をいかにして若く保つか、認知科学統合をいかに図っていくか、脳育、脳活という視点がこれまで以上に重視され、そして数兆円規模の市場として成長し続けることは間違いない。
そのようななか、企業が既に認知的柔軟性という言葉を売り文句にしてサプリのCMを制作している。本講演ではその実際のCM映像を供覧しつつ、本用語と認知科学統合という概念を同時併行的に普及させる意義について解説する。定期講演Ⅹ『冬場のアーシングタッチ〜アーシング手袋の活用〜』
講義の概略
アーシンググッズのラインナップに手袋が加わっており、これを利用した新しいアーシングタッチの実際を紹介する。
アーシング手袋は、冬季に手の冷たい術者、普段から手が汗ばみやすい術者にとって救世主のようなグッズであり、そして安価であることも付記しておく。
当日プログラムは予告なく変更されることがあります。
会場 | 大宮ソニックシティ |
会場住所 | 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5 |
開催日時 | 2022年12月18日(日) 13:30~17:30 |
費用 | ◇一般【40,000】 ◇シルバー会員【30,000】 ◇ゴールド会員【5,000】 ・金額はすべて税込表示 ・当日会場にて現金決済(領収書をお渡しします) |
定員 | 15名 |
締切 | 前日20:00(定員に達し次第Facebookページにて告知) |
懇親会 | 未定 |
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