概要

 運動器のプライマリケア、鍼灸院や治療院、ヒーリングサロン等において、身体症状症(旧身体表現性障害)や病気不安症(旧心気症)、さらに昔はヒステリーの範疇にあった変換症(旧転換性障害)などが、次元の異なるラベリングをされて通り過ぎていることがあります。

 我々医療者が気づいていないだけで、実際は相当数に上る患者さんたちが…。

 こうした方々に白衣ラベリングが為されると、本人も医療者も真の病態に気づけないまま事態が遷延化し、治療ベクトルがあらぬ方向に。

 とくに変換症に現れる麻痺所見に関しては、整形において絞扼性神経障害(神経圧迫による麻痺)と早計されやすく(これについては動画講演「麻痺所見と変換症の関係性~整形と精神医学の統合に向けて~」で詳しく解説しています)…。

 こうした誤謬の背景には“絶対医学”という負の側面があり、教科書というマニュアルを通して、既成概念というフィルターを通して…、そのような観点でしか患者を見れなくなっている医療者の存在…。個体差を見極める視点の欠如があります。

 本動画を観ることで、多くの医療者が「ああ、そういうことだったのか、もしかするとあの患者も…、なるほど」と得心されることでしょう。

 発達個性のスペクトラム(色合いや濃淡の違い)という視点で眺めることができれば、医療者を困惑させる症例に対して、ぶれない軸を作ることができます。“もやもや感”をすっきり晴らすことができます。

 と同時に、そうした症例に対してどのような距離感で臨むべきか、どのような着地点を想定すべきか、そもそも“自分には無理”という症例の見極めも…。こうした次元に対して、臨床家としての見識を深めることができます。

 平成以降、令和の時代になって発達個性は激増の一途を辿っています。今という時代を生きる医療者にとって、もはや発達個性に関わる知識や経験値は不可欠…。

 コロナ禍をきっかけに、今後はマスク強迫症あるいはマスク依存症とも言うべき症例が爆増するでしょう。これらもコロナ後遺症の一部として見なすことができます。こうした人々を定型発達(ティピカル)か、それとも発達個性(オーティズム)かといった視点で振り分けたとき、後者の比率は無視できないほど高くなるというのが、筆者の見方です。

 本講演では発達個性を基盤に持つ4症例について解説していますが、最後に紹介する強迫症の症例においては、傾聴カウンセリングの凄み(俄かには信じ難いほどの効果)を肌で感じていただけることでしょう。

 視聴し終えた際には下図の意味がきっとお分かりいただけます。クエスチョンマークの答えを想像しながら本動画をご覧ください(講演の最後に回答しています)。

動画(全4編・115分)

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