概要

 2020年12月20日(日)の定期セミナーでのアップデートです。実技披露の後、或るパーキンソン症例の施術経過について語るシーンも収録されています。

 パーキンソン病についてはノーマンドイジの『脳はいかに治癒をもたらすか』の第2章「歩くことでパーキンソン病の症状をつっぱねた男」を読んで、脳可塑性に秘められた力に驚かれた方も多いことでしょう。

 驚異的な意思の力(歩くんだ!という強固な動機付け)による効果はまさしくトップダウン回路の威力を物語っているわけですが、仮にその回復因子がGDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)であるならば、ドイジ氏はこれについて「可塑的な変化」と記述しています(原文の英語は不明)。

 しかし当会ではこれを「弾塑性的な変化」と表現します。なぜならGDNFの作用については可塑性ではなく、弾塑性と捉えたほうがその働きをより正確に表すからです。

 本動画で紹介されているプランターやスウィングといった微弱信号入力による効果発現に対しては、「リズム刺激の入力が引き込み(エントレインメント)と確率誘導によってGDNFの賦活化および神経回路の再編成を促すのではないか」と当会は捉えています。これを換言すると「リズム刺激による脳弾塑性の誘導」となります。

 ここで紹介するような微弱刺激の介入がパーキンソン病のごとき疾患に何かしらの影響をもたらすというのは従来の常識では考えられないことかも知れませんが、ノーマンドイジ氏が報告したジョン・ペッパー(主役となった患者の名前)の「歩くだけで進行を食い止めている」という事例も同じように信じ難い現象のひとつ…。

 脳という複雑系(complex system)を相手にする臨床では、先入観や思い込み、認知バイアスといった“進歩の敵”を取り除いていくプロセスが必須です。頭ごなしに否定するのではなく、かと言って一方的に享受するのでもなく、どうかニュートラルな視点で眺めていただければと思います。

 追記)…NHKの番組でメトロノームを利用した引き込み効果-パーキンソン歩行の劇的な回復-が紹介されていました。これについてはこちらのページでご覧いただけます。

本編動画(全11分)

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