概要
外科手術は腹腔鏡下に象徴されるように、より低侵襲なアプローチがトレンドになっています。同時に術後の入院日数も総じて短縮傾向にあるわけですが、しかし術創部に対する看護ケアにはまだまだ改善の余地が残されています。それが術創部に対するタッチケアです。
欧米では手術中における看護師によるタッチケアが浸透していますが、日本ではほとんど行われておりません。そもそも人の手によるタッチングというものが、いかに素晴らしい効果を秘めているか、そうした次元にアンテナが立っている医療人が少ない…。
高度先端医療にはお金をかける一方、タッチングのような人的財産を軽視する、あるいは蔑視する風潮は何に根差しているのでしょうか?
薬や注射や手術に対しては「ありがたがって、これこそが科学だ」と信奉し、タッチングの類に対してはステレオタイプに胡散臭いと決めつける、そんな患者たち、つまり昭和感覚のユーザー志向が根底にあるのかもしれません。
医療もサービスである以上、ユーザーが求めるものを提供した方が経営リスクを減らすことができます。テレビCMに洗脳されている一般ユーザーを囲い込む戦略のほうが圧倒的に有利だと言えます。
ですが、タッチングの真の効果を理解し、これを提供する医療者が増えていけば、世の中は変わっていく可能性があります。
日本が少しでもスウェーデンのレベル(幼稚園からタッチケアが実践されていて、国民のほとんどがオキシトシン効果を知っている)に近づくためには、いったい何が必要なのか?
認知科学統合アプローチ(COSIA)という医療観の普及は言うに及ばず、やはり今回のような情報をひたすら発信し続けていくこと、これに尽きると思います。是非ご視聴なさってください。
動画(10分)
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