ソフト論とハード論
旧フォーラム≪画像診断の虚実について(一般の方からのご批判メールにお答えします)…≫
EBMの登場とほぼ同時期に、海外では「脊柱管の狭窄レベルと患者のしびれの程度はまったく相関しない」「MRIの脊柱管所見と患者の訴えの間に相関関係は認められない」という文言がシステマティックレビューに踊っており、高名な学者も「我々が治療すべきは患者であってMRIではない」と強烈なメッセージを残しているのです。
動画ページ【定期セミナー講演】「テスラが暗示する認知科学統合アプローチ(COSIA)の未来〜医療の垂直統合モデル〜」①~②全27分
テスラの垂直統合の凄みについて解説し、同じく垂直統合を体現する心身統合療法の未来について熱く語る講義。イノベーター理論を医療界に当てはめて俯瞰すると、心身統合という臨床イノベーションが認知されていくまでの道のりが見えてきます。
クラムジーとイップスとオスグッド~認知科学統合の視点~
クラムジーは成長期に発生する運動回路エラーであり、イップスは成長期に限らず全世代で発生し得る運動回路エラーであり、オスグッド氏病(以下オスグッドと略す)は成長期に起きやすい運動回路エラーに伴う膝下(脛骨結節付近)の痛み。クラムジーとオスグッドは、成長期特有の問題として、筋骨格系の急激な成長(ハードの拡張)に脳の神経応答(ソフトのアップデート)が追いつかず、運動覚の失調(パフォーマンスの低下)や痛みなどを引き起こす。
動画ページ【定期セミナー講演】「痛みの定義改訂(世界疼痛医学会/2020)&NHKヒューマニエンス(痛みは心の起源)」①~②全37分
日本の公共放送(NHK)はIASPの動き、すなわち世界の医学界の潮流を国民に知らせるべく、オブラートに包んだ番組を制作しました。IASPの改訂を直接的に報道する代わりに、ソフトペイン(番組内では痛覚変調性疼痛という用語を使用)の存在を知らせる手法を採ったのです。
ソフト論/ハード論とは何か?~その原点にある痛みのパラダイムシフト~
痛みは組織の障害を知らせる警告シグナルと、同役割をもたないシグナルの二種類に大別されます。前者の痛みをハードペイン、後者の痛みをソフトペイン、両者の混成痛をハイブリッドペインと命名したことが、ソフト論/ハード論という用語の起源になります
認知科学に基づく医療(CSBM)とは何か?
認知科学の実験によって痛みの起源は感情であることが示されている。仲間外れにされた人、失恋した人の脳を調べると、痛みを感じている人の脳と同じような活動を示すことが分かっている。こうした認知科学の知見に基づいて行われる医療が「Cognitive Science Based Medicine(認知科学に基づく医療)」。略してCSBM。これを象徴する治療としてミラーセラピーやミラータッチングが有名。
解剖ビデオを観る理由
“皮膚トーヌス”というインスピレーション グンター・フォン・ハーゲンス博士によるプラスティネーション(人体の輪切り標本)を見たのは、今から25年前(1995年)、上野の国立科学博物館で開かれた「人体の世界展」に足を運ん […]
絶対医学から相対医学へのシフト❹~線形科学と非平衡開放系の同時併存はあり得ない~
非平衡開放系はあくまでも非線形科学の管轄であって、線形科学とのあいだに親和性はありません。線形科学と非平衡開放系は水と油のような関係なのです。したがって線形科学を基盤に持つハード論が、最終的に非平衡開放系たる生命システムについて合理的な総括、道筋を示すことは論理的に不可能と言っていい…。これは当然の帰結です。人間はマシーン(機械)ではないのですから。ところが、画像情報に依存した白衣ラベリング(ハード論による痛みの原因診断)が人類のペインリテラシーを根底から狂わせてしまっている…。
痛み記憶の再生理論(後編)
小脳が制御する運動プログラムの一部がシャットダウンすると同時に、痛み記憶の激甚再生を引きおこす。これこそがぎっくり腰、四十肩の激痛発作である。初発のぎっくり腰は痛み記憶が極大形成(フェーズ・シーケンス)された瞬間と考えられる。急性腰痛の9割が治療せずとも自然回復すると言われているが、これは小脳にまたがる一部運動プログラムのシャットダウンとそれに続く再起動だと考えれば説明がつく』
痛み記憶の再生理論(前編)
人間の動作パターン(運動プログラム)は小脳もしくは前庭核に保存され、無意識下で制御される。幼少時からの痛み体験の連続-些事の積み重ね-はケガの大小に関わらず、痛みの体験・記憶として脳内に残る。このとき感情を統合する神経回路に何らかの変化が生じると小脳における信号伝達の輻輳がおこると同時に運動プログラムのエラーが発生し、過去の体験・記憶を基に予測制御の形で感覚を統合する“補完”の働きにより、痛み記憶が再生される。すなわちエラー状態にある運動プログラムと痛み記憶とのリンクが生じる
2018年8月26日BFI技術研修会プログラム「①骨折実験②胎内記憶セラピー③失感情症のCRPS(RSD)④総合臨床という概念⑤異臭症
骨折実験報告-骨折させる目的で、自らの足趾に重いガラス板を落下させ、その直後にセルフBFIを行い、痛みや腫脹がどのように変化したのかを詳細報告!今回の実験で分かったことはBFIは打撲や捻挫のみならず、骨折における二次痛(無髄C線維が秒速90㎝という低速で伝える第二波の痛み)までをも見事なまでに抑える効果があるということ。
さらに二次痛の発生を抑制する手段として、C触覚線維を賦活化させるべく撫でる刺激よりも、ひたすら患部を覆うように触り続ける(圧迫という趣意ではなくただ触れるだけ)というような“静止持続的な刺激”のほうが二次痛を防ぐ効果が高かったことが分かりました。この事実は外傷性の痛みはC触覚線維を経由して島皮質後部を活性化させるよりも、毛包受容器を介して中脳灰白質でのオキシトシン分泌とそれに続くセロトニン活性を促したほうが効果的であるということを示唆しています。
そして二次痛の抑制はその後の回復に想像を絶するほどの好影響を及ぼすことも…。これまで