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お忙しいなか申し訳ありませんが教えて頂きたい事があります。
妻が帯状疱疹になり腰から左大腿にかけての痛みが強く頭痛と発熱もあった為、5日間の入院となり点滴にて改善しましたが、退院してから1週間以上経った今も痛みが続いているようです。
担当医から多少の痛みがしばらく残るかもしれないとの事と疲れない生活をせよとの簡単な説明を受けています。これから具体的にどのようなケアが必要なのか、教科書程度の事しか分かりません。
10月17日から飛行機で私の実家(長崎)に帰省する予定ですが、無理させず中止とすべきなのかも判断つきません。御指導の程宜しくお願い致します。

私の臨床ルーチンとして、帯状疱疹も例外に漏れず、濃厚な問診傾聴を欠かさず行っていますが、その9割以上にメンタルダメージの先行を認めます。
つまり発症がストレスになるのではなく、以前から心身環境因子の問題を抱えている生体が、臨界点を超えたときに発症するという時系列です。
ですので、教科書的な説明(ストレスによる免疫機能の低下が眠っていたウィルスを目覚めさせる云々)は概ね正しいと言えます。
しかし、痛みの原因診断とくに帯状疱疹後神経痛(PHN)に関しては、教科書の記述は誤りです。
PHNの正体は神経痛というハードペインではなく、ブレノスタシス(脳恒常性)に起因するソフトペインであるケースがほとんどです。コロナ後遺症に見られる様々な痛みについても同様です。
ウィルス感染は、その種類によっては脳のグリンパティック系にダメージを与え、脳の自律的回復(レジリエンス)が阻害されるケースがあります。
グリア細胞由来の脳恒常性機能不全(BD)は、現在のバイオマーカーや画像検査では既視化することができないので、原因不明とされてしまうわけですが今後、当会が主張するブレノスタシスの概念が科学的に立証されれば、PHNやコロナ後遺症といった類の病態が脳レジリエンスの次元で説明されるはずです。
既存医学の表出においては、酸化ストレスやミトコンドリアや神経炎症等々、いろいろな表現で説明されることになるでしょうけれども、よりマクロな視点での解釈は、ブレノスタシスに付随する痛み回路の過活動であるという解釈です(脳エネルギーバランスを司る主役がグリア細胞)。

帯状疱疹においてはその治療プロセス(安静、点滴、入院等)において、脳弾塑性の発現が促されると、スムースな回復に繋がるわけですが、奥様の場合、残念ながらそれが不完全な状態だというのが当方の見方です。
これが正しいとすれば、今の奥様にとって最優先すべきはブレノスタシスの回復ですので、長崎に行くことが精神的なリフレッシュに繋がるのか、それともかえって気を遣って疲れる可能性があるのか、そういった視点が重要です。
そもそも奥様の気持ちとして、長崎に行きたいのか、行きたくないのか、といった無意識に近い真の感情も気になるところです。
もし本心として本当に行きたいと願っているけれども、今の体調ではむつかしいと感じているなら、「PHNの正体は肉体的な後遺症ではなく、あくまでも脳疲労の問題だから、気分転換を図って遠出するのも悪くない、いや、むしろそれによって回復が促されるかもしれないよ」と説明してあげるという手もありますし、奥様の真情が「行きたくない」のであれば、「今回は中止しよう」と言ってあげることが回復を後押しするかもしれません(夫の実家に行くというプレッシャーから解放される可能性)。
いずれにせよ奥様の脳が真に喜び、報酬系が刺激され、心の底からの安堵感や安らぎといった感情が賦活される状況を作ることが何よりも大切だと思います。

お忙しい中ご返信ありがとうございます。
帯状疱疹後に続く後遺症みたいな症状はすべてブレノスタシスの視点で説明できるという解釈でよろしいでしょうか?
痛みについてはソフトペインだけでしょうか?ハイブリッドペインの可能性はありますか?すみません、よろしくお願い致します。

そもそも脳疲労という言葉を使用する意図としまして、一般の方、患者さん向けに分かりやすい用語で伝えるためというのがあります。
アカデミックな表現としては「脳恒常性機能不全(BD)」ということになります。
現状、脳疲労という用語を掲げるグループがいくつか存在し、それぞれに異なる解釈、理論を展開しています。
当会が提起する脳恒常性機能不全(BD)は大きく分けて2つの要素から成っており、ヒトの脳をパソコンに譬えてソフトの問題とハードの問題に分けています。
前者は主にデフォルトモードネットワークに象徴される同期性広域ネットワークの問題であり、後者はグリンパティック系に象徴されるグリア細胞の問題です。
前者では心理的過負荷がメインで、後者では化学的過負荷(細菌やウィルス等の侵入や炎症反応)がメインとなり、こうしたソフトとハードの両面において、オーバーロード(脳過負荷)が発生すると、場合によっては脳恒常性機能不全(BD)に陥ります。
帯状疱疹にせよ、新型コロナにせよ、免疫応答の個体差はあるものの、ほとんどのヒトが脳にダメージを受けます(オーバーロードの状態)。
つまり脳恒常性機能不全(BD)のリスクを負うということです。
感染による炎症が消退すれば、BDは回復しますが、ここにも個体差があって、すっきり収束という個体もあれば、そうならない個体もあります。
新型コロナの場合、これが収束しない個体はブレインフォグを起こしやすいと言えます。
帯状疱疹でもまったく同じメカニズムであり、痛みや倦怠感や食欲不振等々いろいろな症状が出ますが、そのほとんどにBDが関わっています。
ハイブリッドペインの可能性もあるとは思いますが、ハードペインの性質上そんなに多くはないと考えています。末梢の次元ではなく、やはり中枢の次元であろうというのが私の考えです。
もちろん100%立証は困難な領域ですので、推測の域は出ませんが。長々と書いておいて、結局曖昧な回答になってしまいました…。

お返事ありがとうございます。仰っている意味はよく分かりました。やはりソフトペインを念頭に置きつつ、妻の気持ちに寄り添うことも大事なのかなと思いました。
その後、妻と色々話し合ったのですが、17日の帰省は中止することにしました。そのせいか分かりませんが、一昨日から妻の体調は回復に向かっているようです。
今回思い切って相談して良かったです。本当にありがとうございました。
旧フォーラム≪目次≫
・妻が帯状疱疹になって今も…
・父が背部の激痛を訴え、脊椎圧迫骨折…
・youtubeでミラーセラピーの動画を観て…
・正会員の中に学生はいますか?
・大腿骨頸部骨折の患者を見舞いに行って土下座させられたという話は本当ですか?
・「気圧と人体の関係」記事について
・ゲーム依存の甥っ子が肩こりで来院…傾聴は自分にはむつかしい…
・PCR検査と条件付き確率について…
・「ファクトフルネス~感染症とウィルス~」を観たおかげで…」
・一般講演会の動画so good!…youtubeで完全公開すべきでは?
・初診時劇的改善例が2回目の治療を当日キャンセル…
・私はIT系企業に勤める整体師ですが…
・画像診断の虚実について(一般の方からのご批判メールにお答えします)…
・ブラインドマインドとアレキシサイミア(失感情症)の違いについて

